スイッチ
第19章 不安定なキモチ。
M「・・・恋ってそもそも何なんだろう。」
「松本さん・・・まじですか。」
あれ、何か可哀想な人って俺の方?
すげー憐みを含んだ目で見られてるんだけど。
「その人の事、考えてたらモヤモヤしちゃったり。
側に居たいのに近寄れなかったり、素直になれなかったり。
でも、笑顔でいるかなって気になって自然と目で追っちゃったり。
手が触れたらドキっとしたり。」
指を折りながら次々と例を上げていく。
すげぇな、よくこんなスラスラと思いつくもんだ。
「自分の気持ちが分かんなかったら、
その人の好きの証拠、いっぱい集めてみたら良いんじゃないですか?」
好きの証拠・・・
なんかカッコ良いなそれ。
「では、証拠集め頑張って下さいね!」
失礼します、と頭を下げて小走りに去って行く彼女をボンヤリと見送る。
何か、カルチャーショックというか・・・
今まであまり恋愛に悩んで来なかった。
そもそも仕事のが大事だったし、恋愛に重きを置いていなかったんだと思う。
大恋愛ねぇ・・・
想像つかないな。
自販機の前に来てから20分。
ようやくジュースを買った俺は、やっぱり大あくびをしながら楽屋へ向かった。