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第20章 憧れ?好き?



S side



今にも零れそうなニノの涙を、心配そうに見つめる雅紀が自分の袖でそっと拭う。
なんだよ、俺が泣かしてるみたいじゃん・・・


N「昔は散々潤くんをそばに置いて甘やかしてたくせに!
今は放ったらかしかよ・・・」


S「放ったらかしって・・・そんなつもりは、」


N「翔さん、優しいけど鈍感!
ムカつく!!」


S「えぇ?!」


A「にのちゃん、言い過ぎ!
ちょっと落ち着いて・・・」


N「だって・・・!!」


ニノは何か聞いてるんだろうか。
俺が、松潤に何かしてしまったのか?


S「あれ・・・それって。」


ニノが持っているのは、俺が松潤にあげたジュースと同じものだ。


N「潤くんの忘れ物。
持ってってあげてよ。」


忘れ物って・・・そんなジュース、また買えば良いんだし届けられても嬉しかないだろ。


N「絶対いま忘れてきたの後悔してるから。」


S「そんな好きなのか?そのジュース。」


N「・・・そうだよ。さっさと持ってたげてよ、もう!」


ニノはだいぶイライラしているらしい。
ジュースを俺に放り投げると、また俺をキッと睨む。


N「じゃあね、バイバイ!」


さっさと出ていけと言わんばかりに、ドアを指差してそっぽを向いてしまった。


A「・・・ゴメン、翔ちゃんよろしくね。」


雅紀が申し訳なさそうに顔の前で小さく手を合わせる。
・・・仕方ないな。


あんなにニノが怒るのも珍しい。
しかも何か俺が悪いらしい。
心当たりは無いが、松潤に話を聞いてみよう。


なおも申し訳なさそうに俺を伺う雅紀に、気にするな、と言う代わりに笑って片手を上げ、ジュースを持って楽屋をあとにした。


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