スイッチ
第22章 苦くて甘い。
S side
楽屋へはたいがい1番乗りになることが多い。
今日も当然そうだろうと思っていたら、珍しく松潤がいた。
S「あれ、早いなぁ。」
M「おはよう。」
笑顔の松潤に、これまた珍しいなと驚いた。
朝は大抵不機嫌な事が多いんだもんなー。
S「おはよ、もしかして早く来て打ち合わせとかしてた?」
M「いや・・・信号運が良かっただけ。」
読んでいた雑誌を閉じて、俺の方へ体を向ける松潤。
S「ん?」
M「え?」
・・・キョトンとしてるけど、俺に何か話があるからこっち向いたんじゃないのか?
いつも背を向けてずっと雑誌読んでる松潤が、わざわざ体ごと俺に向き合うように座り直したんだから。
S「なに?」
M「・・・何でもないけど。」
S「え、ホントに?」
M「うん。」
また雑誌を開いてパラパラと捲りだしたので、俺も新聞を広げる。
おかしな奴だなー、なんて思っているとドアの方から痛いほどの視線を感じた。
S「・・・・・え?!」
M「あれ、カズ何やってんの。リーダーも。」
ニノが超俺を睨んでいる。
そして、その隣で智くんが笑いを堪えている。
N「おはようございます・・・。」
O「おはよ・・・ふふふっ。」
笑いが零れた智くんを猫パンチしたニノは、ズカズカと楽屋に入ってきて俺の隣にドサっと座る。
S「おはよう、ニノ・・・何か怒ってる?」
N「・・・怒ってません。」
いやいや、怒ってんじゃん!
すげー膨れてんじゃん!
N「メールでも送ったけど・・・こないだは良くない態度取ってゴメン。
俺が言った事とか気にしないで。」