
スイッチ
第22章 苦くて甘い。
ようやく開いた口からは、ものすごく小さい声が聞こえてきた。
N「・・・何って・・・え?!」
今度は俺が固まった。
ウソでしょ・・・この人まだ自分の気持ちに気付いてなかったの?!
MN「「・・・・・・・・・・」」
一時停止したまま見つめ合う俺たち。
ど・・・どうしよう・・・。
S「くぉら2人共!!いつまでフラフラしてんだ!」
いきなり聞こえてきた翔さんの声に、思い切り飛び跳ねてしまった。
もちろん潤くんも。
S「なんだよ、ケンカか?」
俺らが睨み合ってるとでも思ったのだろうか、翔さんが間に割って入る。
N「翔さん、違うから。」
S「ホントかよ、なぁ潤、」
翔さんが潤くんに話しかけながら、ポンと肩に手を乗せた瞬間・・・
真っ赤になって潤くんが飛び退いた。
ああ、ダメだよ・・・
M「好きな訳ねーだろ!バーカ!!」
S「え?!」
N「潤くん!!」
そのまま逃げるように走り去ってしまった潤くん。
そして、肩に乗せた手の形のまま固まっている翔さん。
さすがに気付いたか。
どうしよう、俺のせいで・・・
S「ニノ・・・、」
N「・・・はい。」
S「潤が俺の事・・・、」
お願いだから否定的な事は言わないで・・・。
S「バカって言ったーーー!!」
N「・・・・・・・。」
はぁっ?!
S「今まで冷たい態度取られる事はあっても、バカなんか言われた事なかったのに・・・!!」
ガシッと俺の両肩を掴んで、泣きそうな顔で訴える翔さん。
S「あの潤が・・・俺の事をバカだと・・・」
N「・・・ホントにバカだなあんたは!!」
S「ええ?!」
何でそんな一部分だけ切り取って勝手に傷付いてんだよ?!
頭良いくせに潤くんの心の機微が分かんないの?!
N「バカバカバカバカーーー!!」
S「ニノぉーーーーーー?!」
翔さんを振り払って、俺も楽屋へダッシュで戻る。
頭良いくせにカッコ良いくせに面倒見が良くていつも相談乗ってくれる優しい人のくせに・・・!!
潤くんを悲しませる翔さんなんか、
大っきらーーーーーーい!!
