スイッチ
第22章 苦くて甘い。
N「でも、ひとつだけ・・・」
なるべく優しい声を、優しい表情を心掛ける。
散々悩んで弱ってるであろう潤くんが、少しでもホッと出来る様に。
N「もし、勘違いじゃないって思ったら・・・
俺じゃなくても良い。
相葉さんでも大野さんでも、話を聞いてもらってね?」
M「・・・・・・・。」
N「俺、呆れるくらい長い間相葉さんに片想いしてたでしょ?
辛かったんだ・・・
誰にも話せないって、話しちゃいけないって思ってたから。」
潤くんの笑顔が消えた。
N「もうさ、狂っちゃうかと思うくらいしんどかったんだよ?
すぐ側にいるのに、気持ちを隠し続けなきゃいけないんだ。
でも、翔さんが話を聞いてくれた。
潤くんも、大野さんも見守ってくれてた。
どれだけ救われたか・・・」
無表情でコーヒーを見つめる潤くんは、今何を考えているんだろう。
N「大げさなんかじゃくて、本当だよ?
報われるハズのない絶望的な恋が、苦しいだけじゃなくなったんだよ。
だから・・・
潤くんも1人で抱え込むのだけはやめて。
お願い・・・」
潤くんは真面目だから心配なんだ。
誰でもいいから甘えてよ。
M「・・・・・・・・・。」
N「ごめんね、一方的に喋って。
しかも勘違いだって言ってんのにしつこいよね。」
カップを置いて、カバンを手に取る。
もう帰ろう。
やっぱり、俺じゃ力になれないんだ・・・
帰ると告げようと潤くんを見た瞬間、さっきの自分の考えが馬鹿げていたと強く思った。
思わず駆け寄って抱きしめる。
・・・潤くんが、泣いていた。
声も出さずにポロポロと静かに涙を流す潤くんが、すごく儚げで・・・
どこかに消えてしまいそうで、抱きしめる力を強める。