スイッチ
第22章 苦くて甘い。
M「カズ・・・・・、」
N「うん。」
M「俺はお前みたいにはきっとなれない。」
N「・・・・・・・。」
M「好きだって、認める訳にはいかないんだよ。」
N「どうして・・・・」
抱き締めていた潤くんを少し離して、顔を覗く。
大きな瞳から溢れる涙がキラキラと輝いて、不謹慎にも綺麗だと思ってしまった。
純粋な潤くんらしい、綺麗な涙・・・
M「翔くんの邪魔になりたくない。
あの人は俺を必要としてない。
余計な事で煩わせたくはないんだ・・・」
N「・・・・・・・。」
潤くんらしい答え。
初々しくって聞いてて恥ずかしいよ。
M「今まで通りで良い。
翔くんは普通に恋愛して、俺も恋人作る。
嵐のメンバーとして尊敬してるだけで良い。」
N「・・・翔さんに恋人できても良いの?」
M「・・・良いよ。俺には関係ない。」
N「そんな泣いちゃうくらい好きなのに?」
M「・・・好きじゃない。」
N「・・・潤くんって、俺より素直じゃないね。てか頑なだよ。」
でも、仕方ないか・・・。
潤くんの性格じゃあ、頭で考えてるうちは素直になれない。
N「潤くん、ちゃんと寝れてる?」
M「え・・・?」
N「気持ち封印して、惚れてる相手に普通に接するのってすっごい疲れるんだよね。
しっかり寝て、しっかり食べて健康体じゃないとすぐダメんなるよ。」
M「・・・・・・・。」
N「好きじゃないって決めたなら、頑張って乗り越えよう?
いつか、想いが無くなるまで。」
M「・・・・・ありがとう。」
N「大丈夫だよ、今まで通り翔さんからかって遊んでやろ?」
M「翔くんで遊んでんのはカズだけだろ・・・。」
ふ、と笑った潤くんがすごくホッとしたような顔をしていて胸が痛くなる。
大丈夫だよ、なんて言葉そんな素直に受け取らないでよ・・・
潤くんが淹れ直してくれた温かいコーヒーを、2人で並んで飲んだ。
やっぱり人に話すと気持ちが軽くなるんだろう。
いつもよりお喋りな潤くんとくだらない話をしながら、俺の方が泣きそうになっていた。