スイッチ
第5章 素直になれるスイッチ。
N「しつこいな。大丈夫だっつってんじゃん。
俺気に入られてるから。」
A「・・・ごめん。」
N「だいたい、お前が強引に今日来るって言ったんだろ?!」
その通りだ。
にのの返信を待ちきれずに、会いに行くとメールを送った。
A「ごめんね、にの・・・俺、自分の事しか考えてなくて・・・」
N「・・・・・・・。」
A「あのさ、」
N「もう良いじゃん。せっかく会えたのにケンカしたくない。」
にのはこちらを全然見ず、呟くように言った。
食器をシンクに下げて片付け始めたので、俺も慌てて取り皿の分の料理をかき込んだ。
食器を洗うにのの後ろ姿は、エプロンの大きなリボンが揺れていてとても可愛い。
でも無言のままカチャカチャと食器の音だけが響いて、なんとも言えず淋しい気持ちになる・・・
残った料理にラップをかけながら、俺はひたすら反省していた。
完全に俺が悪い。
N「・・・お風呂、沸いてるから。」
A「え?」
N「入ってこれば。」
A「にの・・・」
N「疲れてるでしょ?ユックリ入っておいでよ。」
A「でも、」
N「俺の大きめのスウェットなら相葉さんでも入るでしょ。」
・・・ニコっと微笑んでくれてるけど、思いっきり作り笑顔じゃん。
A「・・・ありがとう。」
まだ食器を洗っているにのを後ろから抱きしめ、耳元に軽くキスをした。
A「すぐ出てくるから。後でいっぱいキスさせて?
片付けまでごめんね、ありがとう。」
N「うん・・・」
お風呂から上がったら、もう一度ちゃんと謝ろう。
先約に割り込んじゃったけど、会えて嬉しいって素直に言おう。
・・・機嫌、直してくれるかなぁ。
俺は重い足取りで、風呂場へ向かった。