スイッチ
第5章 素直になれるスイッチ。
ヤバかった・・・!!
後ろから抱きしめられて、耳元に落とされたキス。
俺が怒っていると思っているからか、かなり控えめなキスはふわふわと甘く耳に残り、俺を落ち着かせなくさせた。
相葉さんを見ると、切なくて色っぽい表情。
こんな顔見たことない。
ドキドキと痛いくらいに心臓が鳴って、涙が出そうだった。
今回の事、相葉さんは悪くない。
先輩俳優との約束をキャンセルしたのは俺の勝手な判断だ。
それに、正直に話さなくたって良かったのに・・・俺はバカだ。
相葉さんが気にするってちょっと考えれば分かるのに。
先輩との約束をドタキャンした事より、こんな簡単な事に気がまわらないなんて、そっちの方が俺らしくない。
N「ただ、相葉さんに会いたくてしょうがなかっただけなのに・・・」
さっきの言い合いのとき、素直にこう言えてたら、きっと今こんなに気まずくなってない。
何で俺は素直になれないんだ。
相葉さんの着替えを持って、風呂場へ向かう。
このスウェットも新しいパンツも、実は今日買ったものだった。
俺の家に置いておく、相葉さん専用のスウェット。
同棲してるみたいだなぁ、なんて浮かれながら買い物をしていた能天気な自分がバカみたい。
素直になりたい・・・
一度甘えだしたら、素直になれるのに・・・
脱衣所でボーッとしていると、シャワーの音がやんだ。
A「・・・にの?居るの?」
浴室から聞こえる相葉さんの声は、いつもより艶っぽくてドキっとする。
さっきキスされた耳元が熱くなった。
N「着替え、置いとくね。」
A「ありがとう。」
・・・甘えたい。
N「相葉さん。」
・・・素直になりたい。
A「ん?なに??」
N「俺も入って良い・・・?」