スイッチ
第10章 波乱。
「ニノくん・・・」
先輩は真剣な目をしたまま、俺との距離を詰める。
・・・意味が分からない、何かのドッキリか?!
「冗談でも酔った勢いでもない。好きなんだ。」
N「・・・・・・は?」
個室の壁際まで追い詰められ、逃げ場がなくなった。
「初めて会った時から惹かれてたよ。ニノくんはキレイだ。
しかも、最近は色気が増したって評判だ。
他の奴に取られるんじゃないかと気が気じゃなかったよ。」
N「・・・何言ってんだよ。俺は男だ!!」
必死に怒鳴ると、先輩はクスリと笑って俺の頬を撫でる。
気持ちが悪い・・・
「男だから良いんじゃないか。男同士のが気持ち良いよ・・?」
先輩の指は頬から耳へと滑り、首筋をなぞる。
ビクっと震えると、ニヤリと笑った。
「思ったとおり感度が良さそうだなぁ。」
怖い・・・・・っ!!!
「おいで。」
腕を引っ張られ、強引に引き寄せられる。
こんなやつに抱き締められたくない!
「イヤだ!離せっ・・・!!」
抵抗する俺の両腕を、ダンっと壁に押し付けられた。
N「っ・・・!!」
「それ本気で抵抗してる?それとも俺を煽って遊んでるの?
さすがニノくんだなぁ・・・」
なんで・・・
俺、本気で嫌がってるのに。
本気で抵抗してるじゃん・・・
愉しそうに笑う先輩に絶望する。
「泣きそうな顔も可愛い。」
頬を掴まれ、無理やり先輩の方へ顔を向けさせられる。
近付いてきた唇に本気で吐き気がした。
N「・・・っ、相葉さ・・・っ」
「・・・・・・」
ふいに、押し付けられていた腕が解放される。
「相葉って・・・あの相葉くん?」
N「・・・・・・?」
「無意識に呼んだのか?」
呆れたように、俺を見下ろす先輩。
・・・嘘。
相葉さんの名前・・・呼んだ?
「そういう事か。」
真っ青になって固まる俺をなおも見下ろしたまま、先輩は冷たく笑った。
「ニノくんを可愛がってたのは相葉くんだったわけね・・・」
何考えてるんだコイツ・・・