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スイッチ

第10章 波乱。



N「電話・・・・・・」


「出る必要ない。」


N「仕事だったら困る!頼むから・・・っ」


「・・・・・・・・・」


N「お願い・・・」


俺との距離を少し開けた先輩は、俺の頭をするりと撫でた。


「そんな可愛い顔でお願いされちゃあな・・・
良いよ、時間はたっぷりあるんだしね。」


ニコっと笑う先輩に背筋が凍りそうになりながら、震える指でスマホを取り出した。



え・・・
翔さん?!



先輩がすっと手を伸ばしてきて、スピーカーボタンをタップする。



コイツ・・・。
本当に嫌な奴だ。



N「・・・・もしもし」


S「あ、ニノ?今何してる?」


N「えっと・・・先輩と飲んでて。」


S「・・・どうした?何かあった?」


N「・・・何もないよ?」


S「声が変だぞ。」


N「そんな事ない・・・大丈夫。」


嘘だけど・・・
俺いま死にそうなんだけど。


S「・・・・・・。」


N「どうしたの?」


S「・・・先輩と飲んでるトコ悪いんだけどさ、出て来れないか?」


え?!
思わず先輩をチラリと見た。
険しい表情になった先輩は、スマホを睨んでいる。


S「松潤がケガをした。」


N「え?!」


潤くんが?!
なんで?!


S「詳しくは俺もまだ聞いてない。でも今ツアーに向けて準備してる最中だろ。
まずは松潤のケガの具合を確かめてから緊急会議だ。」



そんな・・・
重症だったらどうしよう!!



N「翔さん!すぐ行く!」


先輩を横目で睨みつけ、ハッキリと言ってやった。
お前なんかを構ってる場合ではない。


通話を切ると、先輩に腕を掴まれた。


N「聞いてただろ。緊急事態だ。」


「分かってるね?」


N「・・・言えるわけないだろ。」


「さすが賢い子だ。俺たちだけの秘密だよ?また連絡する。」


俺の頬に触れようとした手を払って、俺は個室の部屋を飛び出した。

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