
スイッチ
第10章 波乱。
N「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・、」
どれくらい走ったのか・・・
とにかくあの店から離れたくて、必死に走った。
タクシー拾わなきゃ・・・!
潤くんがケガなんて信じられない!
握り締めていたスマホが再び鳴った。
N「翔さん!今から向かうから・・・、」
S「ニノ。松潤はケガしてない、嘘だ。」
N「・・・は?」
S「今どこだ。」
嘘?なんで?
S「どこ?」
いつもより言葉数が少なく低い声に、翔さんが怒ってるのが分かる。
今いる場所を伝えると、近くにいるからすぐ迎えに行く、と言って電話が切れた。
N「・・・・・・・・」
訳が分からない事がいっぺんに起きて、呆然と立ち尽くす事しか出来ない。
S「ニノ!」
振り返ると翔さんが車から顔を出して、早く乗れと手振りしている。
N「ホントに近くに居たんだ・・・」
助手席に乗り込み、翔さんの顔を見ると一気に今までの緊張が解ける。
S「お前ね、店の前に車つけてたんだ俺は。
なのに店飛び出して走っていって・・・焦ったぞ!」
N「え・・・何で?!」
S「あの店、知り合いがやってるんだよ。」
あんな高級店のオーナーの知り合いなの?!
さすがというか・・・
翔さんの人脈すごいな・・・
S「お前が男と2人で来たけど大丈夫なのって連絡もらったんだ。店の1番奥の個室で、人払いもされてた。」
まじかよ・・・・
