
スイッチ
第10章 波乱。
S「とりあえず様子探ろうと電話したら、ニノ明らかに変だし・・・通話、スピーカーになってただろ。何があった?」
最悪だ。
初めから罠に嵌められてたんだ。
先輩の様子にオカシイと思う所はあったのに、気を許してしまってた。
N「・・・言い寄られてビックリしただけ。」
S「・・・ほんとに?」
脅されてる事は絶対に言えない。
迷惑かける訳にはいかない。
N「うん。でも電話ホント助かったよ。しつこくてさアイツ。」
笑顔を作って、何でもないことのように振る舞うんだ。
俺なら出来る。
N「ホントありがとう。
わざわざ来てもらっちゃってゴメンね?」
S「・・・そんな演技、メンバーに通用すると思ってる?」
厳しい表情でジッと俺の目を見て、さらに声が低くなった。
N「・・・怒んないでよ。」
S「お前は気を許した相手に無防備過ぎるよ。」
N「・・・・・・」
ガチの説教じゃん。
やめてよ、今は説教なんか聞きたくない。
俯いた俺を見て、翔さんは溜息をひとつ吐くと声のトーンを戻した。
S「・・・雅紀からも連絡がきてたんだぞ。」
N「・・・・・え?」
S「今日ニノが飲み会だって。大丈夫かな、心配だ、って。
俺はお前らの何なんだよ。保護者かっての。」
眉を下げていつものように優しく笑う翔さん。
S「危なっかしいんだニノは。
あんまり心配かけさせないでくれ。」
じゃないと俺も雅紀もハゲる、と自分の頭を撫でている翔さんに思わず笑ってしまった。
笑ってるのに・・・
涙がポロポロと零れていく。
