
スイッチ
第10章 波乱。
怖かった。
まだ震えが止まらない。
S「俺にはムリに話さなくて良い。
でも、雅紀にはちゃんと話せ。
・・・辛かったんだろ?」
零れる涙をハンカチでガシガシ拭かれる。
N「痛いよ・・・
翔さんハンカチとか持ってるんだね。」
S「ポケットに入ってた。いつ入れたのかは分かんねぇ。」
・・・どおりでグチャグチャだと思った。
N「汚いなぁ、もう。」
S「うるせー!てか泣きやめよっ。」
N「ムリっ・・・」
いまだポロポロと涙を流す俺の頭を優しく撫でて、ニッと笑う。
S「抱き締めてやろーか?」
N「・・・いいっ。相葉さんに、ダメって言われてる。」
S「ふはははは!雅紀すげーな!笑」
躾けられてるね〜、なんて大笑いしてるけど、
すごいのは翔さんでしょ。
苛立つくらい心配してくれてるのに、問い詰めないで俺の心を楽にしてくれた。
そんな優しい翔さんだからこそ、言えない。
絶対迷惑かけない。
俺が何とかする。
N「ありがとう・・・」
呟いた俺を翔さんは心配そうに見つめていたけど、
気付かないフリをした。
これ以上甘えたらダメ。
今後相葉さんを最も裏切る事をするくせに、翔さんに抱き付かなかった事で相葉さんとの約束をひとつ守れたと思ってる自分が本当にバカらしい。
でも・・・
裏切る行為は少ない方が良いじゃん。
俺の自己満足だけど・・・
ねぇ相葉さん、
すごく会いたいのに
会いたくない。
・・・会うのが怖いよ。
