スイッチ
第10章 波乱。
N「俺、煙草吸わないんだけど。」
狭い喫煙ルームの中、ヘラヘラと締まりの無い顔で笑う奴を睨んで言う。
「ココのが話しやすいだろ?内緒話。」
まぁ、人通りが少ないから適してるか。
ガラス張りだから襲われる心配も無い。
「昨日は悪かったよ。無理やり過ぎたって反省してる・・・お酒の入ったニノくんが可愛過ぎてね。
我慢できなかった。」
煙草をふかしながら、
反省してると言うわりには随分とご機嫌な様子に腹が立つ。
やっぱり、こんな奴に触られるなんか絶対にイヤだ。
「ニノくん。」
名前を呼ばれるのもイヤだ。
俺の方に伸ばされた手を、思い切りパチンと叩き落とした。
驚きの表情で固まった先輩を睨む。
N「アンタの物になんかならない。」
「・・・ニノくん、昨日の話・・・覚えてるだろ?」
覚えてるよ。
胸糞悪い脅しで、翔さんが助けてくれなかったらたぶんコイツの言いなりになってた。
でも時間ができて考える事が出来た。
何が1番大事か。
俺がどうすべきか。
「バラしても良いのか?」
N「相葉さんとは別れる。」
「は?」
N「相葉さんと俺は、Jr.の頃から仲良しの幼馴染みだよ。」
「・・・今更そんな事、」
N「俺らは元々仲の良いグループだよ。アンタ1人が何言ったところで、証拠が無けりゃ誰も聞き入れないだろ。」
そうだよ。
俺らが元通りになれば良いんだ。
N「もともと相葉さんとは付き合いたてでろくにデートもしてない仲だ。俺らの事を知ってるのはメンバーだけ。
このまま付き合っていけば何かボロが出るかもしれないけど・・・
別れれば何にも出ないよ。」
コイツに抱かれるなんて裏切り、やっぱり俺には出来ない。
浮気しないって約束したんだ。
だからといってメンバーに、事務所に迷惑を掛ける事なんか出来ない。
なら・・・
別れるしか無いだろ。
何も無かった事にすれば良いんだ。
相葉さん、怒るだろうけど・・・
でも俺が守りたいのは「嵐」と・・・
そして、「俺自身」
嵐が活動出来なくなるのも、相葉さん以外の誰かと触れ合うのもどっちも死ぬ程イヤなんだ。
N「相葉さんの物にもならない代わりに、アンタの物にもならない。
今までと、何も変わらないんだよ。」