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第11章 やっぱり波乱。


M side


S「普通の人はここまで言うまでに分かってくれるんですけどね・・・面倒な人だ。」


立ち上がって、こちらに顔を向けた翔くんと目が合ってしまった。


S「潤・・・?」


M「っ!!」


男もこちらを向く。
さっきまでとは別人のように色味を無くした顔。


・・・本当に、どんな話してたんだよ。


S「心配してるみたいなんで、俺もう行きますね?
お時間頂いてありがとうございました。」


丁寧な口調だが、表情も声も氷のように冷たく、今度は頭も下げなかった。


行くぞ、と腕を掴まれてその場を後にする。



M「・・・・・・・・・・・・。」



怒ってる翔くんになんて声を掛ければ良いか分からず、ただ掴まれた腕もそのままに無言で歩く。



俯いていると、ぶっと吹き出す声が聞こえた。


M「・・・翔くん?」


S「何黙ってんだよ。叱られた子どもみたいにしょんぼりして・・・。笑」


いつもの笑ってる翔くんだ。


M「だって・・・」


S「怖かった?どこから聞かれてたんだろうなぁ・・・」


参ったな、とガシガシ頭をかきながら眉を下げる。


M「最後の方しか聞いてない・・・むしろ聞かなくて良かったと思ってる。」


S「ははは!なるほど。笑
そうだね、お前は聞かなくて良い。」


廊下の壁にもたれ、腕を組みながら笑うのが絵になる。


M「カッコ良いよなぁ・・・」


S「は?!」


M「何でそんなスマートな大人なの?」


S「・・・意味が分かんねぇ。」


腕を組んだまま、首を傾げ怪訝な顔をする翔くん。



M「俺だけカッコ悪いんだ。さっきもカッとなって相葉ちゃんと一緒にキレて・・・
あの場で、俺だけは冷静でいなきゃいけなかったのに。」


今もこうやって弱音を吐くガキだ。


S「やっぱキレたんだ。笑」


M「・・・面目ない。」


S「別にうまく立ち回ろうなんてしなくて良いだろ?
そのままでいいよお前は。
俺や智くんがいるんだ、気にしなくていい。」


・・・俺だって守る立場になりたいのに。



S「それに、今回の事はもう解決だ。」



M「え?ちょっと待って、」


スタスタと歩き出す翔くんを、慌てて追いかける。


S「ふふっ」


後ろを歩く俺をチラリと見ると、
なぜか楽しそうに笑っている翔くん。

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