
愛しの潤ちゃん!
第1章 1.誕生日
階段を上って、突き当たりの部屋が潤ちゃんの部屋。もう何度も来たことのある部屋だ。
潤ちゃんのいい匂いがする。
「毎度散らかっててごめんね、適当に座っ」
部屋の扉を閉めると、わたしはすぐ潤ちゃんに抱きついた。
「……潤ちゃん」
「…ひな、はやいよ。ココア冷めちゃうよ?」
「でも……ねえ、わたし…16歳になったよ?」
「………そうだね」
潤ちゃんは不意をつかれたように頷いた。
わたしが潤ちゃんの家に入り浸るようになったのは、中学生になってからだ。
その前も、小学生のときも潤ちゃんとはよく遊んでいたけれど、その頃は公園で遊ぶ方が多かった。
中学二年生の冬、わたしと潤ちゃんはある約束をした。
「ひな、ホントはあんまり男の部屋に入っちゃダメなんだよ。女の子なんだから」
「潤ちゃんならいいでしょう?」
「うーん…どうかな、どうだろ」
「だってわたし、潤ちゃんになら何されてもいいもん」
「えっ」
「潤ちゃん、わたし、潤ちゃんのこと好きなんだよ?」
告白をしたとき、潤ちゃんは目を見開いて驚いたあとに、バツが悪そうに目をそらして頭をかいた。
「だめだよ、俺じゃ…」
「潤ちゃん、わたし潤ちゃんがいいの」
「ちょっと、ひな」
「潤ちゃんに触られたいって、思ってるよ?」
「ストップ、待って、」
わたしが潤ちゃんにどんどん近づいていくと、潤ちゃんはどんどん後ずさっていく。
壁まで追い詰めたところで、わたしは潤ちゃんの手を取って自分の成長段階の胸に当てた。
「潤ちゃん、触って……わたし、潤ちゃんが好き」
