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TRAP

第1章 Next stage

((秀太side))







千晃と同じ路線だが,行きの電車の時間は違ったようで




今日の車両に千晃の姿はなかった





((明日は少し早く行ってみよう))





会社を入ってすぐの場所にある受付に軽く礼をしてエレベーターに乗り込むと





偶然,社長が乗ってきた






社「おお,末吉くん。調子はどうだい。」

秀「おはようございます。おかげさまで好調です。」

社「伊藤さん,活躍してるかい」

秀「はい,とっても。」

社「それはよかった。今回の仕事はは失敗できないからね,このタイミングでよかったと思ってるよ」

秀「こちらとしてもありがたいです。」

社「期待してるよ。じゃあまた。」

秀「はい。失礼します。」




社長は右手をひらひらさせながらエレベーターを降りていった






7階に着き,ドアが開く






目の前にはいつも通り,本郷さんが座っている






美「末吉さん,おはようございます」

秀「おはよ」

美「実は先ほど,次の予算の訂正資料が届いたのですが,末吉さんがまだ出勤されてなかったので私が預かっておきました。」




本郷さんの手には綺麗にファイルにとじられた資料があった




秀「お,ありがとね。つーかさ,末吉さんじゃなくて秀太でいいっていつも言ってるじゃん(笑)」

美「末吉さんこそ,美和でいいのに本郷さんって呼んでるじゃないですか(笑)」

秀「言いづらいし」

美「同じくです。」

秀「まあ,おあいこってことで」

美「またタイムカードギリギリになっちゃいますよ。頑張ってくださいね」

秀「おう,さんきゅーな」







"美和"



呼びたくても呼べなかった





呼ぼうとすると思い出してしまう






苦い苦い思い出を

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