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TRAP

第2章 Distance

((千晃side))






亡くなった父の最後の言葉








"あの会社に就職??ふざけるな。何も知らないんだから黙ってうちの会社に就職しろ"







父の会社は,ここのライバル企業だった







父の理想は,父の会社を受け継ぐことだったが







私はどうしてもライバル企業であるこの会社で働きたかった







もちろん父は猛反対








口論は止むことを覚えず,ついに家出をした








それ以来,父とは連絡を一切とらず








会えない存在となってしまった








それ以来,切り離されることが大嫌いになった








切り離されたことで空いた距離は永遠に塞がらない











気づけば涙がこぼれていた







周りの目が痛いほどに伝わる








秀「…こっちこい」







秀ちゃんが私の手を引いて,車両の端の目立たない所に連れていってくれた







秀「…どうした??」








距離を置かれるのが嫌なんて口が裂けても言えない







新人の私が深く関わっていい話ではないはずだからから








千「……言ったら……嫌われちゃうから…」

秀「俺はどんなことがあっても千晃を嫌いにはならない。だって"家族"みたいなもんじゃん(ギュッ)」






秀ちゃんの中はとてもあったかくて,心地よくて,寝てしまいそうなほど安心する







秀ちゃんを信じて,全てを話すと








秀「そっか…。ごめん,ちゃんと話す。俺らのことも,宇野のことも。」







そう言ってくれた

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