ある晴れた冬の日に
第5章 故郷へ
先生が真っ先に向かったのは…。
「ここって」
「うん、僕の通ってた高校。懐かしいな〜」
校舎を仰ぐ彼の目は、遠い昔を思い出しているようだ。
「…」
「先生、何か部活はやってたんですか?」
「ああ…美術部の部長をしてた」
「美術部ですか!」
「意外か?」
「ええ。三上先生なら、てっきり運動系かなって」
「はははっ。人は見かけによらないんだ」
そして2人で学校の周りを散歩した。
「よく体育で走ったな〜」
足元はレンガ模様の石畳だった。
「っ…」
その時私は突然くらっと、めまいに襲われた。
バチッ
なに…?
すると、体操服の女子達が私達を横切ってゆく映像が浮かんだ。
その中に私が混じっていた…。
ハァ、ハァと息を切らし、並んで走っている子と時々会話を交わしながらがんばって走っている。
でも何かがおかしく見えた。
この人達は私の学校の生徒じゃない。
体操服のデザインも違うから。
つまり、この人達はここの学校の生徒達だ。
じゃあなんで、その中に私がいるの??
「きゃっ…」
「蓮池!」
耐えきれずしゃがみこんだ私に、先生がびっくりする。