ある晴れた冬の日に
第5章 故郷へ
「今…ここを走る生徒達に混じって、自分がいたんです。あれは私だった。先生っ、私どうしちゃったの!?」
「ほんとに、それが見えたのか?」
「はい」
その時先生の携帯が鳴った。
「ちょっとごめん。家からだ」
今日の私は、やっぱりどこかおかしいのかも知れない。
先生は話し終わると私に言った。
「母さんが食事を作って待ってるらしい。あんまり遅いんでかけてきたみたいだ。とりあえず家に行くよ」
「私も行っていいんですか?」
「何言ってるんだ、あたりまえじゃないか」
先生の笑顔は私を安心させた。
大丈夫…。
きっともう何も起こらない。
起こったとしても、私には先生がいてくれるから。