
密猟界
第8章 狩りの時刻
「オ…? ヘチ─」「解豸(カイチ)ですね」「こんなところで、会えるとは」石造りの巨体を、ユノは撫でた。
ヘチの広い背中に、よじ登ろうとするユノ。「暗いから、危ないです」「ざらざらしてるな」固い石の背中に、ユノは跨がろうとした。「ユノ…」得意げにチャンミンを見て、笑いかけ、「ここ、来いよ」自分の隣…石の上を軽く叩く。
チャンミンは溜め息をついて、石のヘチに上がり、ユノの隣に腰を下ろす。
…薄青い暗がりのなか、お互いの顔はよく見えない。それでも、ざらざらした石の上で、手を重ね合わせようとする。
笑いながら「チャンミン」「はい」「さっきのさ…」「はい」「ここまで来るかな」「さぁ?」 「まあ…ふたりで、悪魔のおいでをお待ちしよう」前を向く。「もう、来てるんじゃないですか」 チャンミンが、その横顔を見て云う。「えっ…」怪訝な顔にチャンミンは、じっと目を据えた。白いブラウス仕立てのシャツの背に、手が伸びる。鉤爪の手だった。
「……」両手で包めそうな小さい顔の頬に、額から液体が一筋、流れる。両手が薄い闇のなか、チャンミンに向かって差し出された。
ヘチの広い背中に、よじ登ろうとするユノ。「暗いから、危ないです」「ざらざらしてるな」固い石の背中に、ユノは跨がろうとした。「ユノ…」得意げにチャンミンを見て、笑いかけ、「ここ、来いよ」自分の隣…石の上を軽く叩く。
チャンミンは溜め息をついて、石のヘチに上がり、ユノの隣に腰を下ろす。
…薄青い暗がりのなか、お互いの顔はよく見えない。それでも、ざらざらした石の上で、手を重ね合わせようとする。
笑いながら「チャンミン」「はい」「さっきのさ…」「はい」「ここまで来るかな」「さぁ?」 「まあ…ふたりで、悪魔のおいでをお待ちしよう」前を向く。「もう、来てるんじゃないですか」 チャンミンが、その横顔を見て云う。「えっ…」怪訝な顔にチャンミンは、じっと目を据えた。白いブラウス仕立てのシャツの背に、手が伸びる。鉤爪の手だった。
「……」両手で包めそうな小さい顔の頬に、額から液体が一筋、流れる。両手が薄い闇のなか、チャンミンに向かって差し出された。
