
密猟界
第8章 狩りの時刻
苛立たしげに、黒翅が動き(チャンミン)金いろの巻き毛が、微かに揺らめき…(ユノ)つむじ風が巻き起こったように、バタフライが羽ばたき、ふらふらと人形に向かっていった。
(…ユノ)抱きしめたくなる可憐な人形の、花蕾のかたちの唇が開く。(ユノ?)開いた唇の端に、黒いバタフライが留まると─、(ユノ!)抱き人形の瞳が、赤い色に燃え上がった。
抱き人形を両手で頭の上に持ち上げ、床に叩きつける。
細かな白い粉雪のようなかけらと、黒いバタフライが空間を舞う。
(ユノ─)……………………「チャンミン」穏やかに呼びかけられ、覗き込まれ、「あ。─ユノ?」跳ね起きた。
「また、変な夢見たか」ちいさく頷く横顔に、深海のいろの瞳を、当てた。「お互い変な夢ばかりだ」何か云いかけたチャンミンの口を塞ぐように、地鳴りがする。巨大な悪魔の口が、開かれたり、閉じたりする…を思わす響き。
ユノが笑い、「またか…。俺の見た夢の話するよ」曖昧に頷くチャンミンにさらに笑いかけ、「教会のなかにお前走って入って、追いつかれて男どもにリュック投げて…殴られたり蹴られたり、血だらけでチャンミン、お前は死ぬ」「え?」楽しげに笑い声を立てるユノ。
(…ユノ)抱きしめたくなる可憐な人形の、花蕾のかたちの唇が開く。(ユノ?)開いた唇の端に、黒いバタフライが留まると─、(ユノ!)抱き人形の瞳が、赤い色に燃え上がった。
抱き人形を両手で頭の上に持ち上げ、床に叩きつける。
細かな白い粉雪のようなかけらと、黒いバタフライが空間を舞う。
(ユノ─)……………………「チャンミン」穏やかに呼びかけられ、覗き込まれ、「あ。─ユノ?」跳ね起きた。
「また、変な夢見たか」ちいさく頷く横顔に、深海のいろの瞳を、当てた。「お互い変な夢ばかりだ」何か云いかけたチャンミンの口を塞ぐように、地鳴りがする。巨大な悪魔の口が、開かれたり、閉じたりする…を思わす響き。
ユノが笑い、「またか…。俺の見た夢の話するよ」曖昧に頷くチャンミンにさらに笑いかけ、「教会のなかにお前走って入って、追いつかれて男どもにリュック投げて…殴られたり蹴られたり、血だらけでチャンミン、お前は死ぬ」「え?」楽しげに笑い声を立てるユノ。
