
密猟界
第8章 狩りの時刻
「変なこと云わないでよ」泣き声で、ユノの腕に身をすり寄せる。「だけど。うん、焼死体の真っ黒焦げみたいな奴だった」「イヤだ、嫌。ぼく…」ジーンズのポケットから、十字架を取り出し、チャンミンに渡す。「ユノ?」「お守り。持ってろよ」「…うん」黒いトレーナーの胸ポケットに、落とし込む。
「お前からのプレゼント。クリスマスだった─、何年前かな」「うん」伏し目がちに、後ろをついて歩いてくるチャンミンにユノは笑いかける。「奴が起きてくる前に」涙に潤んだ目をしばたたかせ、「うん」「何とか、逃げるとしよう」目を擦りながら、「う…ん」消え入りそうな声を出した。
──衣装部屋のドアの前。
ユノが立ち止まって、「ここだったよな? 隠し部屋」ノブに手をかけながら、云った。「あ。…はい…」周囲をキョロキョロ見まわしながら、答える。
ドアが開けられ、入り…「オ?」たくさんのドレスは消え失せ、石造りの殺風景な部屋…手探りでスイッチを探すが、「チャンミン?」「─つかない。ついてないですね」 薄暗がりに目を凝らすが、冷たい石の壁と床が見えるだけ。足下から凍る空気が、這い上がってくる。
「お前からのプレゼント。クリスマスだった─、何年前かな」「うん」伏し目がちに、後ろをついて歩いてくるチャンミンにユノは笑いかける。「奴が起きてくる前に」涙に潤んだ目をしばたたかせ、「うん」「何とか、逃げるとしよう」目を擦りながら、「う…ん」消え入りそうな声を出した。
──衣装部屋のドアの前。
ユノが立ち止まって、「ここだったよな? 隠し部屋」ノブに手をかけながら、云った。「あ。…はい…」周囲をキョロキョロ見まわしながら、答える。
ドアが開けられ、入り…「オ?」たくさんのドレスは消え失せ、石造りの殺風景な部屋…手探りでスイッチを探すが、「チャンミン?」「─つかない。ついてないですね」 薄暗がりに目を凝らすが、冷たい石の壁と床が見えるだけ。足下から凍る空気が、這い上がってくる。
