
密猟界
第8章 狩りの時刻
バリッと音がして、顔をあげると、華麗なターンで鏡の真ん中が破れたらしい。それでも、赤い靴を履いた童話の少女のように舞い続けるユノ…。
鏡の向こうが急に騒がしくなった。ウェッ、ウェッ…と幼児がぐずるような妙な声。雪崩に似た音がして、鏡が全て崩れ落ちた。
背後の騒音を振り返ろうとしたユノの両肩を、がっしり掴んだもの─悪鬼の指先。「あっ…」吸い込まれるようにユノの体が、崩れた鏡の向こう側へ消える。
慌てふためいて立ち上がり、「ゆ…ユノ」鏡の破片の上をおろおろ歩き、鏡のなくなった空間に、恐る恐る足を踏み入れる。
─奇声が降ってきた。見上げると、天井近くに穴が開いている。
壁をよじ登り、頭を出すと、遠く、ユノを脚爪にぶら下げた巨鳥が、翼をゆうゆうと動かし、彼方へ去って行くのが白日夢のように、見えた。
鏡の向こうが急に騒がしくなった。ウェッ、ウェッ…と幼児がぐずるような妙な声。雪崩に似た音がして、鏡が全て崩れ落ちた。
背後の騒音を振り返ろうとしたユノの両肩を、がっしり掴んだもの─悪鬼の指先。「あっ…」吸い込まれるようにユノの体が、崩れた鏡の向こう側へ消える。
慌てふためいて立ち上がり、「ゆ…ユノ」鏡の破片の上をおろおろ歩き、鏡のなくなった空間に、恐る恐る足を踏み入れる。
─奇声が降ってきた。見上げると、天井近くに穴が開いている。
壁をよじ登り、頭を出すと、遠く、ユノを脚爪にぶら下げた巨鳥が、翼をゆうゆうと動かし、彼方へ去って行くのが白日夢のように、見えた。
