
密猟界
第9章 死海のほとり
ぐしゃりと濡れた雑巾を、叩きつけたように、女はまた倒れる。辺りに女の体液が、飛び散った。 棒立ちになったふたり─生臭い匂いの立ち込めるなかを、ユノは鏡の前へ走った。慌ててチャンミンが、ひきつった顔で後を追う。
「…ユノ…?」鏡の表面を撫でている横顔が向きなおり、「光だ」「え?」ひとところを、指差した。虹のかたちに光彩がある。
「外の、外からの光…」「うん」鏡の隅に小さな罅が丸く、蜘蛛の巣のかたちに割れていた。ふたりはそれをじっと見つめる…。「いま、何時頃─」「朝に、なったんだろ?」石室のなかは、墓場のように静かだった。
「悪夢もそろそろ、終わりにしよう、チャンミン」ユノが、にやっとした。
「どう…するんですか」鏡をバンバン蹴りはじめ、「化け物だから、朝の光に弱い」表面が、ポロポロと床にこぼれ、小さく輝く。
「チャンミン。お前、いけにえになれ」「え」口が開いたままになった。「蛇ちゃんを誘き寄せるんだ。早く裸になれ。縛ってやる、…気持ちいいぞ?」ガリッと耳障りな音。─鏡に大穴が開いた。
「…ユノ…?」鏡の表面を撫でている横顔が向きなおり、「光だ」「え?」ひとところを、指差した。虹のかたちに光彩がある。
「外の、外からの光…」「うん」鏡の隅に小さな罅が丸く、蜘蛛の巣のかたちに割れていた。ふたりはそれをじっと見つめる…。「いま、何時頃─」「朝に、なったんだろ?」石室のなかは、墓場のように静かだった。
「悪夢もそろそろ、終わりにしよう、チャンミン」ユノが、にやっとした。
「どう…するんですか」鏡をバンバン蹴りはじめ、「化け物だから、朝の光に弱い」表面が、ポロポロと床にこぼれ、小さく輝く。
「チャンミン。お前、いけにえになれ」「え」口が開いたままになった。「蛇ちゃんを誘き寄せるんだ。早く裸になれ。縛ってやる、…気持ちいいぞ?」ガリッと耳障りな音。─鏡に大穴が開いた。
