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密猟界

第2章 雨の外へ…

 「─身勝手なこと─。恥ずかしい、こと云った…俺」「──」伏せていた目を、「悪かった。至らない兄貴で、…忘れてくれないか、昨日の言葉」チャンミンの顔いろを伺うように、あげた。
 「いいです」「チャンミン」「僕─いいんです。ユノが僕を、許してくれなくとも…ね」
 豪華な花束を思わせる笑顔…。チャンミンは、あでやかに微笑した。
「どんなことでも、…お前の─思いどうりに…。おまえのが望むなら…でも、ここで─は、駄目…なんだ」
 「…どうして、ですか?」しばし、ユノは黙ってしまう……「ここが、教会だからですか」真紅のVネックに、指先を入れて、衿元を直すチャンミン。何か云いかけたユノを遮るかのように、「日曜日。礼拝…ミサ。教会─」前を見据えたチャンミンは、唇を開く。「濃い色のスーツ。…ブラウン。ネクタイかスカーフも、焦げ茶いろにして…ユノ」モノローグの横顔を、そっとユノは盗み見た。「どこかの─御曹司みたいで…僕を礼拝に誘ってくれたこともあったけれど─、やっぱり…、淋しかった」「チャンミン…」「教会のいちばん後ろの席で。ひとりぼっちで座って。どうしてここに僕いるんだろう…」

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