
密猟界
第4章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)
棚の片方を引っ張る。「隠れ家?」恐る恐るユノが覗いた。「入って。…平気ですよ…」なかは広く明るい。「チャンミン」「はい」「ここ、は…?」「衣装部屋、…でしょう?」ユノは足元の低い丸テーブルに置かれた、真っ赤なベルベットのワンピース・ドレスに目をやった。「チャンミン。さっきの服…も?」「はい」黒いハンガーに掛けられたワンピース。 その隣のハンガーをチャンミンは取る。淡いピンクにからまる金の鎖─「この服のお店、昔は馬具商だったそうです」「そう…。この赤い服─、お前がイベントで着たドレス思い出す」「…何年前でしょうか…。光復節でしたね」そのまま、ドレスをカウンターのような細長い卓に載せると「ユノの服乾いたと思います─。持って来ますね」チャンミンは出て行く。
白いTシャツいちまいの姿で、ユノはハンガーのぎっちり並んだ洋服棚に近寄り、鮮やかな水中花のなかに手を浸すように撫でる。
白いTシャツいちまいの姿で、ユノはハンガーのぎっちり並んだ洋服棚に近寄り、鮮やかな水中花のなかに手を浸すように撫でる。
