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密猟界

第6章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)Ⅱ

「それできつく匂ってたのか…」「香水の瓶も蓋が開いて、床に転がってましたよ」「誰だろ─、いたずら…?」
 ……ユノの髪に指先で触れ……身体を離す─と、「すこしユノ、寝んだら? 熱っぽいですよ」「だるいんだ。でもいいんだよ」「無理しないで…僕が添い寝します」「うん…」チャンミンが、ユノの肩から腕に手をまわして抱き寄せ、ふたりはドアに向かった。
 隠れ家のような衣装部屋が、無人になると、天井のライトがいっせいに消えた。



 「さぁ─ユノ?」チャンミンはベッドを整え、促した。
「添い寝…してくれるんだろ?」毛布をユノの両の肩に、掛けてやりながら、「ええ…」もう一枚の、掛けものを取り上げる。 
「寝んで…ユノ」隣にパステルカラーの枕を置き、チャンミンはユノの肩に、毛布をのせる。夜明けの雲のように、毛布の色は淡い。ふと、横に向いた唇が、重なった。
「今度は、良い夢見て…」「サンキュ…。大事にしてくれる…チャンミン─お前…」「ユノは夢の男です。お寝みなさい」 ユノの髪から頬にかけて、チャンミンの唇が、ゆっくり動く。
 ─ふっと閉じた瞼にも、温かな唇が、当てられた。
 チャンミンがなにか云う。…ユノはもう眠りに就いていた。

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