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密猟界

第6章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)Ⅱ

 ─腕が動かない…(ア…?)冷たい金属の感触が、手首にあった。ベージュの毛布に横顔を押し付け、起き上がろうとすると、ガチャガチャ耳障りな音─「チャンミン」返事はなく、また、「チャンミン」名前を呼び、もがいていると、絨毯を踏む柔らかな足音……「ユノ?」囁きが、きこえた。 
 「チャンミン…」うごめくユノの肩に手をおき、「どうしたんです。…また変な夢─」毛布を剥ぐ。「起こして…くれ」 チャンミンの腕に縋り、ようやくユノは起き上がり、大きく息を吐く……「ユノ、どうして裸なんですか」後ろにまわり込み、「これは─なんですか」カチャンと、手首で固い音がした。  
 「何…?」丸い金の輪をチャンミンはひっぱり、「─また、いたずら…。結局は全部ユノの仕業だったんですね」「違うよ…」「試着室入って、なかで、何やったんだか」「取ってくれよ」金属の輪には細い鎖が2本、両方の輪を、繋いでいる。
 「自分でやっといて…ユノ、いつからです? こんな趣味」「あ…小学生の時、かな…」「早熟なユノにしては、遅いですね」「─早熟。俺はただのカントリーボーイさ、チャンミンは?」カチカチ金属音をさせ、「僕は趣味は…料理と野球、写真だから─少し、ちがう傾向ですね」

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