
密猟界
第6章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)Ⅱ
「ユノ。思いっきり…いきますよ」ベッドの足元の方にあったストゥールを、部屋の中央に置いて、チャンミンはドアのノブに手を掛け、云った。
「綱引き─鎖引き、だな」ユノの手首の鎖は、内側のドアノブに、掛かっている。外側のノブを、チャンミンが握りなおした。「シィ―…ジャッ!」ユノは勢いよく、部屋の真ん中に跳び、チャンミンは、ドアの反対側の廊下の壁に、背中を打ちつけるように、両手でノブを引いた。
─空間に、鋭い音が、微かに響く。
「ユノ」ストゥールに倒れ込んだ身体に、駆け寄る。
「いい気分…」チャンミンに抱きつこうとして、「─オ?」鎖は片方だけ、細まっていても、取れていない。ふたりは顔を見合わせる。…サラサラと鎖が音を立てた。
パスタを茹でる、あたたかい匂いがする。
ざらざらと、金属と金属の擦れ合う音が、キチネットの隅から聴こえる。「どうですかユノ…」
チャンミンが、パスタ鍋の傍らで訊いた。鍋のいろは炎のように赤い。
「うん─」頬骨に沿って、うっすらと汗─。
「悪いなチャンミン。俺のカルボナーラ…面倒だろ」チャンミンはふっと笑い、生クリームの缶を開けた。
「綱引き─鎖引き、だな」ユノの手首の鎖は、内側のドアノブに、掛かっている。外側のノブを、チャンミンが握りなおした。「シィ―…ジャッ!」ユノは勢いよく、部屋の真ん中に跳び、チャンミンは、ドアの反対側の廊下の壁に、背中を打ちつけるように、両手でノブを引いた。
─空間に、鋭い音が、微かに響く。
「ユノ」ストゥールに倒れ込んだ身体に、駆け寄る。
「いい気分…」チャンミンに抱きつこうとして、「─オ?」鎖は片方だけ、細まっていても、取れていない。ふたりは顔を見合わせる。…サラサラと鎖が音を立てた。
パスタを茹でる、あたたかい匂いがする。
ざらざらと、金属と金属の擦れ合う音が、キチネットの隅から聴こえる。「どうですかユノ…」
チャンミンが、パスタ鍋の傍らで訊いた。鍋のいろは炎のように赤い。
「うん─」頬骨に沿って、うっすらと汗─。
「悪いなチャンミン。俺のカルボナーラ…面倒だろ」チャンミンはふっと笑い、生クリームの缶を開けた。
