
密猟界
第6章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)Ⅱ
ぎりぎりと、金属と金属が擦れる音。「チャンミン」「上手くいきそうですか」キッチンのパイプ椅子のざらりとした表面をヤスリにして、ユノは鎖を動かす。「出来そうだよ」「こっちは、まだ少しかかりそうです」 固い音が、やや細まった。「ユノ。味どうします?」「いつものでいいよ」手首には蒼いキラキラの金属の粉を纏いつけて、「最近なにか面白い本読んだ? チャンミン」「特には…ユノは?」「あぁ、好きな本をね─」笑顔で「白濁の砂浜─、でしたっけ」「うん、それも良いタイトル…。白濁の海辺で」
フライがえしを器用に動かし「そうでした。ユノが一生懸命読んでるから、僕も少し、読みました」「どうだった?」顔のまわりに、白い湯気を漂わせ、「もっとハードかなと思ったんです…。情感のある話ですね」「チャンミン。作ろうか、ふたりで─ロマン文学研究会」「ソロ活動でユノどうぞ」ざりっと鎖が滑った。
「切れました?」「まだ…」冷蔵庫をチャンミンは開ける。「本のはなしだけど、主役のふたりで海いくんだ」「デートですか」「うん…いちばん好きなところ」チャンミンは、鍋の中のパスタをかき混ぜた。
「…お弁当をね、持って、毛布もね」「はい」
フライがえしを器用に動かし「そうでした。ユノが一生懸命読んでるから、僕も少し、読みました」「どうだった?」顔のまわりに、白い湯気を漂わせ、「もっとハードかなと思ったんです…。情感のある話ですね」「チャンミン。作ろうか、ふたりで─ロマン文学研究会」「ソロ活動でユノどうぞ」ざりっと鎖が滑った。
「切れました?」「まだ…」冷蔵庫をチャンミンは開ける。「本のはなしだけど、主役のふたりで海いくんだ」「デートですか」「うん…いちばん好きなところ」チャンミンは、鍋の中のパスタをかき混ぜた。
「…お弁当をね、持って、毛布もね」「はい」
