
密猟界
第1章 雨の中,傘のなか。
「マスコットみたいですよね」壁の下の出っ張りに腰を、引っ掛けてチャンミンが応えると、またもや、雨が降りを、増してきた……。
雨の音が、辺りの静けさを深めていく…。「─空き家かもね?」「人の住んでる感じないし…無人の家─?」──風がサァッと音を立てて、二人の前を通って行った。
濃い紫のリュックから取り出した、タオルをユノの膝に掛けた。「ありがとう」タオルは雨を吸って、膝に貼り付く。 傘をユノの前に置き、「ユノ…少し待っててください」チャンミンは隣の水車小屋ふうな家を、覗こうとする。
「チャンミン」後ろからのユノの声に、「はい─。ユノ座ってて…」答えると黒っぽいドアに雨のなか、近寄る。
「チャンミン」……「はい。─」黒いタロットカードを、ひっくり返すようにドアをそっと動かす─。「チャンミン?」……。
「─なんにも無いです」チャンミンが、濡れて、色濃い黄金に変わった髪を、両方の手で掻き毟る仕草で触れる。「空っぽ? 小屋みたいだね」「薄暗くてがらんとしてて、あんがい、なか広いんですよ」「入ってみようか」
雨の音が、辺りの静けさを深めていく…。「─空き家かもね?」「人の住んでる感じないし…無人の家─?」──風がサァッと音を立てて、二人の前を通って行った。
濃い紫のリュックから取り出した、タオルをユノの膝に掛けた。「ありがとう」タオルは雨を吸って、膝に貼り付く。 傘をユノの前に置き、「ユノ…少し待っててください」チャンミンは隣の水車小屋ふうな家を、覗こうとする。
「チャンミン」後ろからのユノの声に、「はい─。ユノ座ってて…」答えると黒っぽいドアに雨のなか、近寄る。
「チャンミン」……「はい。─」黒いタロットカードを、ひっくり返すようにドアをそっと動かす─。「チャンミン?」……。
「─なんにも無いです」チャンミンが、濡れて、色濃い黄金に変わった髪を、両方の手で掻き毟る仕草で触れる。「空っぽ? 小屋みたいだね」「薄暗くてがらんとしてて、あんがい、なか広いんですよ」「入ってみようか」
