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華は儚く美しく

第2章 桜色の想い

「はいはい。ところで、今日はお手玉、持ってきてないのか?」


「あるよ」


「数え歌だっけ? それに合わせながらお手玉、投げてよ」


「うんっ!」


 桜は数え歌を歌いながら、お手玉を投げると、宙でくるくる舞っては、手に収まる。それを繰り返す。時折、落としてしまい歌が途切れる。


「へたくそ」


 僕は悪戯っぽく笑う。


「うるさいな」


 桜は憎まれ口を叩きながらも、僕に釣られて笑った。


 そんな風に桜のお手玉を見ながら、話しているうちに夕暮れへと空は変化する。


「そろそろ、暗くなってきたから帰らないと」


「そっか。寂しいね」


「大丈夫。また、来るよ。またね」


「わかった」


 僕が答えると、桜は手を振って走った。鈴の音が蜜柑色の空に溶け込んだ。

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