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華は儚く美しく

第2章 桜色の想い


 桜はその言葉通り、時間がある時、僕の元に来ては面白い話を聞かせてくれた。笑ったり拗ねたり怒ったり、色々な表情を見せてくれる。桜の木は四季を通して色々な表情を見せてくれて、同一のような、そんな錯覚を感じた。


 桜と日々を過ごしていくうちに色々なことを知った。織田信長(オダ ノブナガ)様に仕えていること。周りの人に、とても可愛がられていること。好きなものは、自分の名にある、月と桜。信長様をお守りするために剣術を磨いていて、趣味は幼い頃から続けているお手玉。桜と出会ってからの毎日は宝石みたいに輝いていて、幸せな日々を過ごすことが出来た。




 いつの間にか、桜と知り合って、八年という月日が流れた。


 天正九年、春。僕は十七歳になり、桜は十八歳になった。年々、綺麗になっていく。桜の噂をよく耳にするようになった。“蝶々のように色鮮やかに美しく戦場で舞う女がいる”と。

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