テキストサイズ

華は儚く美しく

第2章 桜色の想い

 時々会うと、顔に傷が付いていることや、着物が破れていることもあった。戦をする姿は、きっと僕より何千倍もかっこいいのだろう。


 変わらないのは、鈴の音を鳴らしながらやって来るということ。


「ゆーうさ」


「機嫌がいいな」


「今日の戦いでは、大勝だったからね。こいつもよくやった」


 刀を手に意気揚々と桜は答える。桜があまりに笑顔で言うものだから、僕も嬉しくなって笑う。それと同時に太陽のような桜の輝きに胸が高鳴ったような気がした。


「そっか。よかったな」


「ありがとう」


 その愛らしい姿に頭を撫でたい衝動に駆られた。もっと近づきたいと思っても内側と外側。すぐ近くにいるのにその距離が遠い。


「いえいえ」


「我は、この後もやらなきゃいけないことがあるから帰るね。またね」


 桜は風の如く去って行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ