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カラダからはじまった愛は

第7章 運命が動き出す時

 いつも静かな緑が丘高校近くの住宅街。
少し冷たくなってきた風が瑠衣の福島での25年間の想い出を過去の世界に運んでいくようだった。

 先のことなんてわからない

 今はじめて夫から 自由になれた

 この自由が正しいのか間違っているのかも

 わからない

 この一歩が踏み出せなくて

 間違っている道を歩いてきた

 なにをどう考えて、どうすすめばいいのかさえ、その時の瑠衣には分からなかった。

 絵里にメールをした。

 「 今 おじちゃん来てくれて 家を出た 」
  
 通り過ぎる懐かしい景色がやけに眩しかった。
もう、ここにくることも…ない…

 絵里からの返信が届いた。

 「 まだ、これからだからね!

 うち、今日これから白井さんと会うから 」

 えっ!どうして⁉ これから福島に…

 「 なんか、母ちゃんのこと心配だから、会えなくても来るって。うち、会ってみるよ 」

 胸が、心が熱くなった。

 哲さん…

 こんなことがあったのに…

 瑠衣は 哲に愛されている喜びと幸せを想い出した。

 これで終わりじゃない。

 これでやっと…

 前に 進める…

 
 哲との関係が始まって4ヶ月と少し…

 会う度にお互いを求めあい、愛し合っていった。心もカラダもふたりでとろけあうほど深く感じてひとつになっていった。

 瑠衣が夫との離婚を決意したその時に、急激に瑠衣の運命が動き出した。

 それは、瑠衣が思いもしない奇跡の出来事だった。
 

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