テキストサイズ

知らない世界

第10章 やきもちからの・・・

ただ黙って運転する櫻井さん。
焦ってるの?怒ってるの?
よくわからないけど、固い表情。
怒っているなら、何を怒ってるの?
怒ってるのはこっちの方だよ。
自分からかけてきて、話したいだけ話して、一方的に切るんだからさ。


「あのぉ・・・用ってマジ何ですか?」

「・・・」


はぁ?
この距離で聞こえているはずなのに、ガン無視ですか?
あぁそうですかそうですか・・・わかりました。
今からどこへ行くのか、何の用か知らないけど、俺絶対協力してやんないからな!

外を眺めていると、見馴れた建物の前で車が止まった。


「えっ・・・あの・・・」


そこは櫻井さんのマンション。
助手席でモジモジしている俺。
先に下りた櫻井さんがドアを開けた。


「下りろ!」


腕を掴まれ、助手席から下ろされた。


「あのっ・・・一体何なんですか?」


知らない人が見たら、マジ俺、この人に拉致られているようにか見えないと思う。

ただとにかく、無言で力強く引っ張ってかれる俺。
エレベーターに乗り込むと、強く掴まれた手を離してくれた。
そ~と隣の櫻井さんの顔を見ると、運転していたときと同じ、固い表情は変わっていなかった。


マジ何なんだよ・・・


ストーリーメニュー

TOPTOPへ