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知らない世界

第10章 やきもちからの・・・

「でも、何か言おうとしてましたよね。
声が聞きたかっただけじゃないですよね?」

「それだけじゃ・・・駄目か?」

「駄目と言うか、言おうとしてたことが何か知りたいだけです」

「そっか・・・わかった、話すよ」


あっ、あっ、話してくれるんだ・・・
いざとなると、何かドキドキするよ。
何だろう・・・何だろう・・・


「潤・・・おいで・・・」


優しく俺の名前を呼び、両手をのばした。
俺はゆっくりと引き寄せられるように、その腕の中におさまっていった。
ギュッと抱き締められると、櫻井さんの心臓の音が聞こえてきた。


「潤・・・」

「はっ!」


耳元で名前を囁かれると、櫻井さんの背中に回した手に、ギュッと力が入る。


「これだけで、お前には伝わると思ってた。
やっぱり言葉でないと、わかってもらえないのか?」

「伝わるとかじゃなくて、何を言おうとしてたか知りたい・・・」

「惚れた・・・」

「だけ・・・えっ!?何ですか?」


胸の中で櫻井さんの顔を見上げた。


「だから、お前の事が好きなの。
惚れたの、お前に」


アニメのような、首から上に顔が赤くなっていくのがわかった。

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