テキストサイズ

知らない世界

第10章 やきもちからの・・・

あまりの恥ずかしさから、櫻井さんの胸に顔を埋めた。


「もういい歳の、ヤ⚪ザ男がこんなこと口にするのって、喧嘩やどこかにカチコミに行って、チャカやドス振り回すより度胸いるんだぜ」


俺の頭を撫でながら、今までにないくらいの優しい声で、結構恐ろしいことを言ってる。
でも俺の心拍数はレッドゾーン。
頭から湯気が出るほど体中が熱い。


「さぁ、今度はお前だ。
さっきの電話はどういう意味なんだ?」


ドキッ!っとして、腕の中から離れようとした。
それが腕から伝わったのか、抱き締める腕にさらに力が入る。


「正直に言ってみろよ、クソガキ」

「どういう意味って・・・そのままの意味だよ」

「おっ・・・タメ口になったな」

「あっ、すみません・・・」

「それでいいんだよ。
で、そのままの意味ってことは、俺に会えなくてさみしかったとか、会いたかったって可愛いこと思ってたとか?」

「可愛いは余計だよ」

「そっかそっか・・・だから久しぶりに電話かけてきたんだから“好きだ”とか“会いたい”とか言ってほしかったわけだ」


胸の中で小さくなる俺。
埋めていて見えないはずの顔を、さらに手で隠した。


「どうだ・・・図星だろ?」


はい、図星です。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ