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知らない世界

第10章 やきもちからの・・・

帰りの車の中、俺はもらった部屋の鍵をポケットに手を入れ、ずっと握っていた。
手を離したら、鍵が消えてなくなってしまうような、そんな気がした。


「また若の話だけど、そんなに学校ではモテてるのか?」

「モテてるなんてレベルじゃないよ。
ほぼほぼ毎日、誰かに告られてるよ。
この前なんか、あまりにしつこくて、かずが困ってたから助けに入ったけどね」

「確かにモテてるってレベルじゃねぇな。
でもみんな断るってことは、その中にはいないってことだよな」

「俺も全然検討がつかなくて・・・
修学旅行のときには、あいつも何とかするんじゃねぇかな。この学校の子ならね」

「・・・ふふふっ」

「何笑ってんの?」

「いやぁ、さっき電話の時とは大違いだなって思ってさ」

「大違いって?」

「さっきまではスゲェやきもちやいてたのに、今は普通に返事してくれるからさ」

「べっ、別にやきもちなんかやいてねぇし」

「まぁ、部屋の鍵とあのキスのおかげかな」

「だから、別にやいてねぇし」

「はいはい、わかりました。
まぁそう言う事にしといてやるよ、ガキんちょ」

「ガキガキってうるせぇなぁ、もう・・・」




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