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知らない世界

第11章 かずの心の準備

修学旅行前日、いつものように店を手伝っていると、組の人がやって来た。


「いらっしゃい・・・あっ、こんばんは。
今日は一人ですか?」

「今日はお前に用があって・・・
済んだら帰るから」

「俺に用ですか?
でもすぐなんて言わないで、飯食っていってくださいよ」

「そうしたいんだけど、今日は俺が若のところに泊まる日だから」

「そうなんですか・・・
で、俺に用って何ですか?」

「これ、少しだけど・・・」


そう言って財布からお金を出した。


「何・・・ですか?」

「少ないけど小遣いの足しにしてくれ」

「こんなことしてもらっては、申し訳ないです。
自分の小遣いがあるし、翔・・・!?
かずにお小遣いあげればいいのに」

「俺の立場であげられるわけないだろ。
前にも言ったけど、弟ができた気分なんだ。
だから何かしてやりたいって思うわけなんだよ」

「そんなこと・・・でもありがとうございます。
お土産買ってきますね。
でもこの弟は、甘やかすと調子に乗っちゃうかもしれませんから気を付けて下さいね」

「こんな可愛い弟のためなら、どんなわがまま言っても全部聞いてやるよ。
じゃあ、気を付けて行ってこいよ」


俺の頭をポンポンと撫でて帰って行った。

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