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知らない世界

第18章 会いたくて

カフェを出て、フラフラと歩き出した。


「どうしよう・・・やっぱ、怒られるよな」


と言う俺は、気が付いたらマンションの前まで来てしまっていた。
駐車場には翔さんの車がある。
と言うことは、翔さんは部屋にいる。


「ちょっとだけ、ちょっとだけ・・・ねっ!
ちょっとだけ顔を見たら帰るから」


翔さんとの約束を破って会いに来てしまった俺。
会いたさと、怒られるかもという気持ちとで、俺の心臓は久しぶりにドキドキしている。


「翔さんに何て言われるかな・・・」


1階のエレベーターホール、上へのボタンを押そうと手を伸ばすと、後から来た人にボタンを押された。
隣に立ったその人の顔を思わず見た。


「・・・あっ!あんたこの前の・・・」

「えっ、誰あんた・・・あっ!
あんたこの前の、生意気なガキじゃない」

「うるせぇ!俺はガキじゃねぇ!」


この前のここでぶつかった、むなくそ悪いお水っぽい女。
俺は階段に向かった。


「何、エレベーター乗らないの」

「あんたと狭い空間に一緒にいるなんて、息が詰まるよ」

「失礼なガキね。
何階まで行くか知らないけど、お好きなように」


勢いよく階段を駆け上がり出した。


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