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知らない世界

第18章 会いたくて

「はぁ・はぁ・はぁ・・・」


さすがに息が切れてきた。
体力には自信があるけど、最上階まではやっぱ階段では無理だ。


「はぁ・・・あとこれを昇れば・・・」


ーピンポーン!ー


「・・・えっ!?・・・エレベーター?」


たぶん俺が待っていたエレベーター。
誰だ?
エレベーターからコツコツと言う音がすると、思わず階段に隠れた。


「何であいつがこの階に?」


降りてきたのは1階ホールで会ったあの女。
この階は翔さんの部屋だけ。
だからあの女は翔の部屋に行ったってこと?
そう言えばあの日、1階でぶつかったときもエレベーターで降りてきた。
じゃあ俺が行く前にあの人が部屋に来てたってこと?
何であの日、部屋に行ってたの?
何で今、部屋に来たの?
階段に立ち尽くしていると、部屋のドアが開く音がした。
俺はそのまま逃げるようにして、階段をかけ降りた。
途中で足を止めることなく、1階まで一気に降りきった。
ショックなのか、酸欠なのかわからないけど、頭の中は真っ白状態。


「はぁ・はぁ・はぁ・・・」


振り返り、息を切らしながら翔さんの部屋を見上げた。
頭の中が真っ白なまま、俺は翔さんのマンションを後にした。




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