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知らない世界

第3章 反省

痛み止の薬が効いているのか、少し穏やかな顔になった。


「何でこいつはボコボコにされても、逃げたりしなかったんだろう?
抵抗したり、殴り返したりできたはずなのに」


俺はじっと見つめた。


「こんなにも傷だらけになって、痛かっただろう、苦しかっただろう・・・
俺がもう少し早く現場に駆けつけていれば、こいつは苦しい思いをしなくてもすんだのに・・・」


そんな事を考えていたら、思わず頬に手を伸ばしていた。
首筋から胸に手を這わせていった。


「んっ・・・」


その声に“ハッ!!”して、慌てて手を離した。


「なっ、何してんだ俺は・・・」


我に返ると、彼の携帯が鳴った。
着信を見ると、彼のお袋さんだった。


「どうしよう・・・
今の状況を説明した方がいいのか?」


迷っていると電話はきれた。


「よし、次かかってきたら出て、事情を説明しよう。
心配させてもいけないし」

「失礼します。
兄貴、お茶をお持ちしました。
様子はどうですか?」

「薬のせいか、まだ目が覚めないよ」


部屋に運んでもらったお茶を飲んでいると、彼の携帯がまた鳴った。


「お袋さんからだ・・・
あっ・・・もっ、もしもし・・・」

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