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知らない世界

第22章 解放

「テメェ、人の女に手を出しておいて・・・」

「兄貴、待ってください」

「まぁ、それより電話で話していた件、返事を聞かせろ。返事次第で・・・」

「返事か?
親父さんの返事は、こいつが助かるなら喜んで辞退するそうだ」

「おぉ、そうか。
お前んとこの組長も、欲がないと言うか、丸くなったと言うか、そんなガキ一人のために辞退するなんて・・・」

「でもな、こんなことが陰で起きていて、しかもお前んとこの者がやったとなったら、話は別だけどな」


そう言うと、事務所の扉が開いた。


「お前・・・」


かずの組の若い人が、男を連れてきた。


「どれだけしめ上げても口をわらないから、わざと逃がしたら、ここに入っていったからな」


その男は、入院中のかずのお父さんを襲った男らしい。


「これはどう説明するんだ?
こんなことをする組の組長に、会長なんかさせられねぇよな」

「テメェ、付けられていないって・・・」

「すっ、すみません」

「・・・まぁどちらにしろ、うちの組に来て波風立てて、ただで帰れるって思うなよ」

「こっちも穏やかに済むとは思ってはいなかったけどな」


空気が張りつめるってこういうことなのか?

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