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知らない世界

第29章 見えない恐怖

後片付けをしていると、翔さんが入ってきた。


「あっ、翔さん・・・どうしたの?」

「うん、ちょっと様子を見にな」

「櫻井さん、いい子紹介してくれてありがとうございます。
気が利くし働き者だし、お客さんの相手も上手いし、凄く助かってます」

「こいつのために、何か勉強になるかなと思ってな。ここなら働かせるのに安心だから」

「二代目の友達で、ここまで気に入られて、潤はすごいな」

「えぇ・・・」


洗い物をしながら、顔を上げることができなかった。


「もう終わるか?」

「もう少しだけど」

「潤いいよ。櫻井さん待たせたらいけないから」

「いいです、もう少しなので終わらせます」

「こいつやんちゃな顔して、結構まじめだから。
終わるまで待つよ」

「じゃあその間、ビールでも飲んで・・・」

「店長ダメです。飲酒運転になるから」

「何もしないで待っていてもらうのも・・・」

「いいよ、こいつの言う通りにしてくれ」

「本当に真面目だな」


洗い物を急いで済ませ、翔さんと店を出た。


「お先失礼します。おやすみなさい」


車に乗り込み、俺の部屋・・・ではなく、翔さんのマンションへ帰った。

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