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知らない世界

第29章 見えない恐怖

大将もいつもより店に来るのは早いんだろうな。
俺が電話したから寝不足なんじゃなあかな。
運転しながら大あくび。


「あの大将・・・すみません」

「気にするな。
櫻井さんに恩返しが出来るなら、こんなことくらいたいしたことないよ。
で、櫻井さんには話したのか?」

「いいえ、してません。心配かけたくないんで」

「そうか・・・でも黙っているのもな」

「土曜日には帰るって連絡があったんで、何かあったら大野さんに連絡しろって・・・
その大野さんにも連絡してないですけど」

「何かあったらって、すでに起きてるんだろ?」

「でも、たいした事が起きた訳じゃないんで」

「起きてからじゃ遅いんじゃねぇか?」

「前に翔さんにひどい怪我をさせるくらい、迷惑かけたことがあるんで、もうかけられないから」

「そうか・・・でも早めに何かあったら言えよ。
役に立たないかもしれないけど、俺も話は聞くぞ」

「ありがとうございます。すみません・・・」

「よしっ、この話はこれでおしまい。
今日は買い出しも手伝ってもらうからな」

「はいっ!」


何となくだけど、少し気がはれたような気がした。



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