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知らない世界

第29章 見えない恐怖

店に戻り、片付け掃除、下ごしらえの手伝いをした。
しばし嫌なことを忘れることができた。
開店の時間。


「いらっしゃいませ!」

「潤君、こんばんは」

「潤君、今日も会いに来ちゃった」

「いらっしゃい、ありがとうございます」


自分で言うのも変だけど、俺目当てと言うか、俺に会いに来てくれる人も増えてきた。
時々だけど“みんなそっちの人?”なんて思うときがある。
だって俺に会いに来た何て言う人は、みんな男の人だもん。
もちろんお袋くらいの女の人も中にはいるけど。
お店の手伝いをしているときは、嫌なことを全部忘れられる。
お客さんをいじったりいじられたり、笑って過ごす何時間。


「ねぇ潤君、今度一緒に焼肉でも食べに行かない?」

「焼肉ですか?いいですね。
でも俺、毎日バイトに来てるんで・・・」

「大将、潤君と焼肉行きたいんだけど、休みあげてよ」

「うちの子に手を出さないよ。
それに潤は今ではうちには欠かせない子なんだからね」

「すみません、またいつか・・・」


そんな会話をしながら時計を見ると、閉店まであと30分になった。


「大将すみません、ちょっと・・・いいですか?」

「・・・!!あぁ、いいよ」

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