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知らない世界

第30章 恐怖からの解放

大野さんの食事が済むまでに、俺がやるべき仕事は終わってしまった。


「じゃあ、ごちそうさん」

「大将、失礼します」

「大野さん、また入らしてください。
潤、お疲れさん。明日も頼むよ」

「はい」


店を出て、大野さんの車に乗り込んだ。


「さぁ潤君、何があったか話してもらおうか?」

「・・・」

「話せないのか?」

「・・・」

「兄貴には連絡したのか?」

「・・・」


黙って首を横に振った。


「そっか・・・」


そのまま俺の家に着くまで、黙り続けた。


「あっ、その道を右に曲がって2本目の角のアパートです」

「えっとここを右で・・・1本、2本目の角のアパート・・・あぁ、ここか」


停まった車の中から、アパートを見渡した。


「部屋まで付いていこうか?」

「えっと・・・」

「お前が部屋に入ったら帰るよ」

「えぇ・・・はい・・・」


車をおりて部屋に向かった。


「おいっ、何だこのポスト」


テープで塞がれたポストを見て、驚く大野さん。
そのまま黙って部屋に向かう。


「おい潤・・・」


鍵を開け、ドアを開いた。


「何もなかったけど、もう大丈夫か?」

「よかったら、少し上がりませんか?」

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