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知らない世界

第30章 恐怖からの解放

「いいのか?」

「どうぞ・・・コーヒー、入れますね」

「ありがとう」


ソファーに座り、部屋をキョロキョロと見ている大野さん。
俺が初めて翔さんの部屋に行ったときのよう。


「大野さんはブラックですよね?」

「あぁ、覚えていてくれたのか?」

「まぁ・・・」


大野さんのところへコーヒーを運び、俺はテーブルの方へ座った。


「そんなに警戒しなくても、何もしねぇよ。
そんな事をしたら、兄貴に殺されちまうよ」

「別にそういう訳じゃなくて・・・」

「ところで、話す気になったか?」


黙って学校へいつも持っていくカバンを、大野さんの目の前に置いた。


「何だよカバンなんて持ってきて・・・!?
どうしたんだよこれ」


そのあと、クシャクシャの紙を目の前に広げた。


「このカバンどうしたんだ?
破れたようには見えない、刃物で切られたように思えるけど。
それにこの“み~つけた”って紙、何?」

「わからないんです。
何が何だかわからないんです。
家に帰ってくると、ゴミ箱のようにいろんなチラシが入れられてて、その中にこの紙が混じっていて」

「だからポストをテープで入れられないようにしてあったんだな」

「はい。それとこのカバン・・・」

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